日々さまざまな情報が行き交い、議論が交わされるSNS。2024年3月2日(土)頃から注目を集めているのは、聴者(聴覚に障害のない人)が歌の振り付けやダンスのように「手話」を用いることについて。
ある人気アーティストが披露した自身のミュージックビデオ(MV)での“ダンス”がきっかけになりました。
同年2月に公式YouTubeチャンネルで公開されたのは、女性アーティスト、アイナ・ジ・エンドさんの新曲「宝者」のMV。
春を思わせる柔らかな日差しの下、アイナさんともう一人の女性がテーブルを挟んで向かい合わせに座り、ほほ笑みながら手話でやり取りをしているシーンが登場します。
同チャンネルのコメント欄には、「とてもすてきな歌」「何だか涙が出た」「間違いなく名曲」と、ファンたちからの称賛の声がいくつも投稿されています。
アイナさんは同月27日(火)ラジオ番組で、「撮影が始まってカメラが回ると緊張して全部振りが飛ぶ(※覚えてきた手話の動きが分からなくなった)
手話は、振り付けと同じ感覚でほぼダンスでした」と、MV撮影時の様子を振り返っていました。
これに対しX(旧ツイッター)で疑問の声を上げたのが、手話を主たるコミュニケーション手段とする当事者(ろう者)たちです。
Xに投稿された主な趣旨は、「MVを見たが、ろう者からすると何を言っているのか全く分からない、意味をなしていないものだった」
「手話はオモチャではない。言語の一つ」「リズムに合わせて動きたいだけで言語として成立していない」「手話を消費コンテンツにしないでほしい」といった内容です。
アーティスト自身が流行歌を手話で表現するといった動きは平成の時代から見られましたが、
昨今はYouTubeやTikTokなどの動画投稿SNSが発達したことを背景に、一般ユーザーも数多く「手話歌」「手話ダンス」などの動画をアップしています。
特にダンスというジャンルは、気軽なものであれば参入障壁が比較的低く、かつSNS映えしやすいといった理由から投稿数が多い人気コンテンツであり、
手や腕の動きがある手話は投稿者にとってダンスと“相性のいい”ものと捉えられているとみられます。
ただこれに対しては、「手話を、言語としてではなく振り付けのように扱い、聴者が楽しむためだけに使われている」「ろう者を蚊帳の外に置き去りにしている」といった違和感がかねて指摘されてきました。
Xでは、聴者とみられるユーザーたちから「いろいろ考えさせられる問題だ」「手話に興味を持つきっかけになるのでは?」
「本来の言語(手話)ではない広められても困惑するだけだろう」など、さまざまな意見が挙がっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/050ac92b5cc697312eccf...
返信する