「タバコは体に悪い」ということは、数多くの研究で証明されており、
当のタバコのパッケージにも書かれている程の揺るぎない事実ですが、
喫煙者の中には「タバコは体に悪くない」とうそぶく人が大勢います。
これはなぜなのでしょうか?
その謎を解く鍵は「認知的不協和」にあります。
非喫煙者にとっては、「タバコは体に悪い」という『考え』と、
「タバコを吸っていない」という『状態(行動)』は、
その人の中で矛盾することなく、快適に共存しています。
つまり『考え』と「状態(行動)」が一致しています。
ところが、喫煙者が「タバコは体に悪い」と考えはじめると、
「タバコを吸っている」という事実とつじつまが合わなくなり、
非常に不快な状態になります。
これを「認知的不協和」といいます。
この場合、喫煙者が『行動』を変えて、「タバコを吸っていない」
の状態になると快適に過ごせます。
これが「禁煙に成功した人」の状態です。
心身ともに安定し、達成感とともにその後の人生を豊かにします。
逆に、喫煙者が『行動』を変えられない代わりに「『考え』を変えて」、
「タバコは悪くない」と思い込もうとする場合があります。
これを心理学用語で「合理化」と呼びます。
「防衛機制」といって「自分を守る防御反応」の一種です。
禁煙に対して無関心を装う人にはこのパターンが多いのですが、あくまでも
自分の心を守るための防衛機制なので、これも無理からぬことです。
決して責めてはいけません。
論理的に論破するなどもってのほかで、そうなるとさらに「合理化」を推し進め、
せっかく禁煙しようとしていた人も「合理化」の波に飲み込まれ、かえって禁煙から
遠ざかってしまいます。
(小学生の頃、今から宿題をしようとしていた矢先に「宿題は終わったの?」
と親から言われ、やる気をなくした経験は皆さんお持ちだと思います。)
「禁煙してストレスをためる方が体に悪い」
「俺のおじいちゃんはヘビースモーカーだったけど90歳まで長生きした」
「酒の方が体に悪い悪い」
「車の排気ガスの方が体に悪い」
…等々、様々なバリエーションがありますが、上記のような発言を聞いたときは、
「認知的不協和を解消するための合理化だ」と察して、暖かく対応する必要があります。
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