
●選手時代よりも深刻? 引退が与える精神的ダメージとは?
アスリートの心の問題は現役中に限ったことではありません。
むしろ引退後の方が心のバランスを崩しやすく、メンタルヘルスに
長期的に悪影響をもたらすことがわかっています。
原因は大きく2つに分けられます。
①「引退の経緯」
自らの意思で引退する選手と比べて、戦力外や怪我などの
「不本意な引退」は、うつ病や睡眠障害、不健康な食生活が目立ち、
生活の質が低下し、生活満足度が低くなると言われています。
他にも「喪失感」や「やり残したこと」が原因となって、
運動や健康を害する身体的合併症などを発症するケースも
あります。
②「アイデンティティの喪失」
選手時代に苦しめられた不安から開放されてもなおスポーツ選手が
「うつ病」に陥る原因は、「自分が自分ではなくなるから」だと
言われています。
「アスリートであることがアイデンティティ」だと考えている選手ほど、
「引退=社会的な居場所を失う」という感覚が強くなります。
アイデンティティの喪失は、無価値感や抑うつ、不安、敵意、怒り
などの精神的苦痛を引き起こします。
そして、薬物乱用や飲酒、ギャンブルなどの不適切な方法で対処
するようになる選手も少なくありません。
「引退後に職を探さなければならない」という焦りを抱える一方、
「自分が何をしたいのかわからない」「スポーツ以外何もできない」と、
将来の見通しが立てられないことも、さらにストレスに追い打ちを
かける要因となります。
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