そしたら西崎さんがすごく不機嫌になって「違うな。違うな。違うな。違うな。
宇宙の彼方からとてつもない悪がやってくるんだよ」。
「それ『さらば宇宙戦艦ヤマト』で見ましたよ」って言っても、もう駄目なんですよ。
西崎さんには、実はやりたい『ヤマト』が既にあるんですよ。
いっしょにやりたいスタッフも決まってるんです。
好きに作っていいと言ってたけど、それを言葉どおりにとっちゃいけないんですね。
「アニメーションはね、庵野秀明君が思う通り作ってくれていい。
俺のことはいいけど、いくら思い通りと言っても、『宇宙戦艦ヤマト』は色んな人が
力を合わせて作ったもんだから、それまでの経緯をないがしてもらっちゃ困る。
それは男としていかんだろう。老いた艦長と若い部下の継承の話を語ってもらいたい」
って言うんです。
だったら昔の『宇宙戦艦ヤマト』そのままやってもいいはずなんですけども、
それは駄目だと。
「それでは庵野秀明が『宇宙戦艦ヤマト』をやるということにならないじゃないか。
君は過去の亡霊に囚われていていいのかね。太平洋戦争で君は何を学んだんだ」
学んでるわけないですよ!
(中略)
結局、GAINAXで『宇宙戦艦ヤマト』はやらなかったです。
一番の理由は庵野君が「昔の『宇宙戦艦ヤマト』をやりたい」って言ったのに、
そのままやらせて貰えないということ。
もう一つは、庵野くんが本当の意味で監督をやらせてもらえるわけじゃ無かったこと。
これが大きな理由ですね。
(中略)
『宇宙戦艦ヤマト』、凄くやりたかったんですよ。
庵野君は、ほんとに昔の『宇宙戦艦ヤマト』とコンテまで同じで、
同じでありながら自分の演出とか構図を微妙に変えることで、
全く新しい『宇宙戦艦ヤマト』をやりたいと、ずーっと言ってたんです。
エヴァンゲリオンの劇場新作がありますよね。
絵がかなり良くなって、構図も大分変わって、新キャラも登場するし、
これまでのキャラクターの解釈もどんどんかわっている。
あのエヴァの新解釈と同じ方針で、庵野君は『ヤマト』をやりたかったんですよ。
「全く同じにします」と言いながらも、庵野君の個性がムンムンするものになって、
凄く面白い物になったんじゃないかな。
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