あと、ミスター日本で14回優勝したレジェンド小沼選手は、背中の大円筋を断裂している。
―― ミスター日本で特に思い出に残っている試合は?
小沼 たくさん出ていますし(笑)、どれか一つに絞るのは難しいですが、初優勝した'85年。
それと'93年のミスター日本は特に印象に残っています。
―― '93年ミスター日本というと、たしか大円筋を切るケガを負った年の大会ですね。
小沼 6月に右の大円筋の筋断裂をしてしまい、当時の雑誌のインタビューでも今年は出ないというような返答をしていました。
まったく腕も動かなかったですし、ジムで補助するときも片手でしかできませんでした。
今年は新しいチャンピオンが生まれるんだなと、他人事のように考えていました。
―― 結果的には出場して、V8を決めたわけですが、出場を決意したきっかけはあったのでしょうか?
小沼 1カ月くらいトレーニングを一切やめて、食べたいものを食べていました。それが良かったんです。
痛みもだいぶ軽くなってきたので、この条件下でどこまでできるかチャレンジしたくなったんです。
正直、負けは覚悟していました。試合では髙西文利さんに決勝で1ポイント差まで迫られましたが、
なんとか勝てたという試合でした。それまでは勝って当たり前と思われていたので、
このときの優勝は私にとって非常に価値あるものでした。
―― ケガをしたときはまず休むということの大切さを痛感されたのですね。痛くても我慢してやってしまう方は多いです。
小沼 良くなったと思ってトレーニングすると、大抵また同じ部分を痛めてしまいます。
それを繰り返すと本当にダメになってしまいます。ケガをしたらまずは休養することを心がけてほしいです。
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