アルコールは非常に「二相性」の強い、珍しい物質です。
科学的な視点と、飲んでいる時の状況(コンディション)の両面から整理すると、そのメカニズムがよく見えてきます。
1. 脳内での「二段構え」の作用
アルコールは薬理学的には「抑制剤(ダウナー)」に分類されますが、摂取量や時間経過で以下のように変化します。
初期のアッパー感(脱抑制):
脳の「理性を司る部分」が最初に麻痺します。普段抑えている感情や陽気さが解放されるため、ドーパミンが出てテンションが上がり、アッパーのように感じます。
後半のダウナー感(鎮静):
さらに血中濃度が上がると、脳の活動全体が本格的に抑制され始めます。眠くなったり、反応が鈍くなったり、沈み込んだりといった、本来の「ダウナー」としての作用が強まります。
2. 「気分」や「環境」による影響(セット・アンド・セッティング)
専門用語で「セット(自分の心の状態)」と「セッティング(周囲の環境)」と言いますが、これによってアルコールの顔は劇的に変わります。
状態 酔い方の傾向
楽しい場・お祝い 脳が「今は盛り上がる場面だ」と判断し、アッパーな面が強調されやすい。
ストレス・悩みがある 抑え込んでいたネガティブな感情が解放され、泣き上戸や落ち込み(ダウナー)に繋がりやすい。
疲れ・睡眠不足 抑制作用がダイレクトに効いてしまい、すぐに眠くなる(ダウナー)。
結論
アルコールは「ブレーキを壊すことで加速しているように見せる」飲み物です。
そのため、「その時、自分がどの方向に進みたがっているか(気分)」によって、アッパーにもダウナーにも化けるというわけですね。
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