80年代になると、包茎手術に特化したブームが到来します。
「ホットドッグ・プレス」や「スコラ」などの青年誌が、
「包茎だと女性にモテない」や「同性からバカにされる」など、
脅迫をまじえた宣伝をしたことがブームの背景にあります。
この辺りから、「包茎でいると恥ずかしい」という雰囲気が
強くなってゆきます。
この宣伝は、包茎手術をする「医師」と情報を伝える「出版社」
の協力によって行われてきました。
その具体例がタイアップ記事です。
包茎であることのデメリットを記事で訴求し、「解決法」として
医師が手術を推奨する内容です。
こうした記事が繰り返し掲載されることで、読者が恐怖に駆られ、
病院に駆け込み、さらに出版社に広告が入るサイクルが成立しました。
メディアを持つ出版社と知識や権威、タイアップ記事を出せるだけの
資金を持つ医師は「強者」です。
対して、これらを持たざる読者は「弱者」。
強者が弱者を支配する構図と言えます。
また、私が調べた限りでは、青年誌の主要な編集者や誌面に出てくる
包茎クリニックの医師は全員男性でした。
包茎手術を受けるのは男性ですから、これは「男性による男性支配」
とも言えます。
― 時代は違いますが、今で言う「脅迫マーケティング」ですね。
当時も今も、顧客との関係性を築くことにおいては不利ではないでしょうか。
否定的なメッセージによって消費行動を起こさせることは、
長期的に見て損なマーケティングだと思います。
顧客の体験価値に重きを置く現代では流行しない手法でしょう。
特に現在のように世の多くの人々が疲弊している状況では、
否定的なメッセージの発信は企業にとって良くない結果を招くと
思われます。
本の冒頭にも書きましたが、2007年に美容整形医の高須克弥氏が
包茎手術の必要性について「捏造できたのも幸せだなあって(笑)」(原文ママ)
と語っています。
後になってこのことを知った男性たちの少なからずが、
その手法に反感を持っています。
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