欧米のニュースを観ていると、日本との違いに気づく。欧米では女性がメインキャスターとしてスタジオを仕切っている番組が珍しくないのに対し、日本にはほとんどない。
それよりも、年配の男性アナウンサーの横で若い女性アナウンサーがアシスタント役に徹している構図が目立つ。
女性アナウンサーはバラエティ番組にもよく出演し、ここでも司会の男性タレントを盛り立てる役回りだ。
そして彼女たちは「女子アナ」と呼ばれ、その言外には「こうあるべき」という響きが込められている気がする。なぜこの国には「女子アナ文化」みたいなものがあるのだろう?
1980年代からニュースキャスターとして活躍してきた安藤優子さんに聞いた。
●テレビ画面のなかの「主」と「従」の関係
──そもそもなぜ「女子アナ」という言葉があるのでしょう?
まず、私自身はアナウンサーとしてテレビ局に就職したことがなく、ずっとフリーとしてやってきたので、
局のアナウンサー業界についてはすべてを理解しているわけではないことをお含みおきください。そのうえで私なりに考えることを話します。
私が最初にアルバイトとして報道業界に入った40数年前、そこは圧倒的に男性優位社会、男性一色の世界でした。そのなかでアナウンサーが扱うニュースについては性別役割分業が確立されていました。
男性は政治経済といった硬いニュース、女性は子供向けニュースや天気予報といった、いわゆる「やわネタ」の担当です。
そこで私に割り当てられたのが、メインの男性司会者のアシスタントという仕事なのですが、横で相槌を打ったり、時々にっこり笑ったりする、ちょっとした彩を添える程度の役割でした。
いわば男女の「主」と「従」の関係性が、テレビ画面で象徴的に映し出されていたわけです。
それは誰が決めたことでもなく慣習的というか、そうした社会通念があったんですね。視聴者が求める女性像は「にこにこ笑って、かわいくいる存在」であり、
万が一にでも男性の前にしゃしゃり出てきて、自分の意見を述べたり硬いニュースを読むなんてことはありえないという社会でした。
なので質問の答えとしては、そうした男性優位社会のなかで性別役割分業が成立しており、その意識を引きずってきた延長線上に「女子アナ」という存在があると理解しています。
私自身はそのアシスタントのアルバイトから出発して、少しずつ記者的なリポートをするようになり、男性社会のなかで居場所をこじ開けてきました。
それでも、「なんで女性が記者の仕事をしているんだ」という視聴者の戸惑いがすごく伝わってきましたし、私なんかあまりにこにこしなかったので、事あるごとに「生意気だ」と言われましたね。
女性アナウンサーはもうルッキズムの象徴になっていますよね。若くて、かわいくって、頭もよくて──そういうことを偏重する社会の、ある種の時代の要請のなかで「女子アナブーム」が誕生したのだと思います。
https://courrier.jp/news/archives/390239...
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