ではなぜ躁うつ病・発揚気質の人が天才的な能力を発揮するのか。
ガミーは四つの要素をを挙げます。
その四つとは、
リアリズム(正しい現実認識)、レジリエンス(反発力、回復力)、
エンパシー(共感)、クリエイティビティ(創造力)です。
その中でもガミーは、共感力や創造力に天才の能力の淵源を求めます。
エンパシー(共感)とは何か。
細かく話すと難しくなりますが、ここでは簡単に言って「他人の気持ちがわかる」
「他人と心を合わせて動ける」「仲間全体の意見をまとめられる」と言って良いかと
思います。
躁うつ病の人は、その共感能力が高く、他人の気持ちを察することに長けています。
「仲間」「友達」「同志」を作り上げる能力が高いのです。
そのような共感能力に長けたリーダーとして私たち日本人がよく知る人としては、
西郷隆盛を思い浮かべるのが良いでしょう。
西郷は情に厚く、男からも女からも(犬からも?)慕われ、敵対関係ができても
相手に対し温情を忘れずにいました。
日本の各地に彼に魅了され、彼を慕う人ができました。
彼は、自分とは違った立場、いろいろな境遇にある人とコミュニケーションする
能力に優れていました。
ひとたび相手と意気投合すれば一心同体、運命共同体となりました(僧侶の月照と
一緒に入水自殺を図ったエピソードに典型的に表れています)。
仲間や同志を作って良い関係を築ける協調性という点ではうつ病の人も同じく
得意なところですが、躁うつ病の人には、社交性があり集団のリーダーとなる
エネルギーがあります。
集団の持っている問題が何であり、それを解決するためにはどのように集団を
導いていけば良いのか、という問題発見・解決能力に優れています。
そのような問題発見と問題解決能力のことをガミーはクリエイティビティ(創造力)
と呼んでいます(ピカソのような独特な作品を創り出す創造力とは違う意味合いでの
創造力なのです)。
このように書いてくると、躁うつ病は良きリーダーになるためにはむしろ有利な
病気と思われ(実際、ガミーの本の邦訳の副題は「心の病がリーダーを強くする」
となっています)、躁うつ病の人に元気・勇気を与えるところもあり、それはそれで
結構なことです。
しかし、たしかに一部の天才や成功者に注目すると躁うつ病は独創性や生産性のある
病気なのですが、躁うつ病という病気自体は本人にとって、もしくは家族や部下など
周囲の人にとっては苦しく、時には自殺や迷惑行為、反社会行為など、悲劇的な問題を
起こすことも多いのです。(ガミーの本の中ではヒトラーの章にその悲劇的な側面が
よく描かれています)
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