部屋に入るなり、圧倒的な迫力に言葉を失った。棚を埋め尽くす箱、箱、箱……。大半が1960年代から’70年代に絶版になった、超貴重なプラモデルである。
持ち主は、元テレビ朝日アナウンサーの松井康真(やすまさ)氏(61)だ。
「(富山県南砺(なんと)市井波の)実家だけで4部屋にギッシリです。20年ほど前に数えると3000点以上ありました。
東京の自宅に保管したモノを合わせれば、把握(はあく)しきれません。テレ朝を定年後は、大好きなプラモデルに囲まれて暮らしています」
プラモ好きが高じ、今年3月には業界の雄『タミヤ』の模型史研究顧問に就任した松井氏。
松井氏は東京工業大学卒で理系の出身だ。科学の知識と″プラモ愛″は、報道番組でも大いに発揮された。’11年3月の東日本大震災の直後に起きた、福島第一原発の事故である。
「他局は、原子炉の正確なイメージを表現できていませんでした。私は、たまたまネット上で1号機の原子炉建屋の二面図を見つけたんです。
『いずれ削除されてしまうだろう』とすぐに保存。複数の原発関係者に『本物ですか?』と問い合わせると『間違いない』とウラがとれたので、
この二面図を基にフルスクラッチの原子炉建屋模型を約2週間かけて自宅で作りました。
複雑な配管や圧力容器などを忠実に再現した、144分の1のスケールモデルです。デスクに『これは良い』と絶賛され、模型はテレ朝の報道番組でたびたび使われました」
’23年3月に松井氏は定年を迎える。テレ朝から慰留(いりゅう)され、定年延長する選択肢もあった。ただ松井氏には、定年後にやりたいことが二つあったという。
「一つは地元・富山県井波の活性化。もう一つが、公式ガイドブックも執筆し子供の頃からお世話になった『タミヤ』への恩返しです。
幸い、交流のある田宮俊作会長から『定年になったらウチを手伝って』と言われていたので快諾しました。
模型史研究顧問となった当面の仕事は、この10年ほとんど手つかずの本社(静岡県静岡市)内にある『歴史館』のリニューアルです。『タミヤ』の歴史が散逸しないよう、しっかりと充実させます」
ここまで大好きなプラモの世界に没頭できたのは「妻をはじめ家族の理解のおかげ」と語る松井氏。第二の人生で″プラモ愛″を深化させる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e6efb844f25907e59690...
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