1ドルが160円を再び突破し、実質賃金が26カ月連続でマイナスとなった日本。
経済学者の竹中平蔵氏は「このままでは国民の生活は苦しくなる一方だ」と話す。そんな中で最低賃金の引き上げに注目が集まるが、「これに矛盾を感じる人もいるのではないでしょうか」と語る。一体なぜかーー。
さてこの最低賃金とは社会保障的観点から決められます。最低限の生活をするためには「このくらいの給料をもらわなくてはいけない」というラインを審議会が決めているのです。
それができない企業は退場してもらうことになります。
その最低賃金の決定には生産性が高まっているかどうかということは関係ありません。本当の意味で、働く人の給料上げるには生産性を高める必要があるのは先述した通りですが、
経済を発展させるためにはもう一つ別の”サジェステッド(示唆される)最低賃金”があってもいいのではと思っています。
こっちは経済産業省が担当し、企業として成長するためには「このくらいの最低賃金にしてください」と示唆するようなものです。
さて現状は厚労省が「最低賃金の引き上げ」という形で社員への給料が低い会社にプレッシャーを与えています。
その一方で、日本ではなかなか企業の新陳代謝が進んでいません。なぜなら失われた30年で日本政府は企業に社員のクビを切らないように補助金を出すようになったからです。
そもそも日本は、判例によって社員をなかなか解雇できない国でもあるのですが、政府は経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた企業に雇用調整助成金を長らく支給しています。
それが、生産性の低い産業から高い産業への人材の移動を妨げており、結局のところ日本の生産性が上がらず給料も上がらないという状況を生んでいます。
政府が企業を助けてもゾンビ企業を生むだけで、消費者物価への転嫁は進まず、日本企業全体が先細っていくという事態を招いています。
そんな状態で「最低賃金を上げなさい」と中小企業に命令したとしても、補助金を増やすしかその方策はありません。ではその補助金の原資となるのは企業や国民が支払う税金や国債です。
これには矛盾を感じる国民も多いのではないでしょうか。最低賃金すら支払えない企業を、政府は一方で保護もしているのです。
そしてそのために増税したり、借金したりしている。日本はとにかく“弱者”に対する保護を簡単に認める国です。しかしそれによって日本全体が弱くなっていっています。
本当にハンディキャップを持った人など事情がある方には補助は必要です。しかしそうではない部分に関しては、国全体の新陳代謝を高めていかないと日本は貧困化から抜け出すことはできません。
私は、最低賃金を上げるなら、企業に対して不要の規制を取り下げることもワンセットにして行うべきだと思います。
本質的に解決するべきは解雇規制などの議論もせずに、ただただ延命措置を続けていいわけありません。その場しのぎばかりを政府はしてきたのです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f370d31b59df7d4a2d6ed...
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