90年代に活躍した宜保愛子は1993年12月30日に日本テレビで放映された
宜保愛子特番『新たなる挑戦Ⅱ』において、ロンドン塔において透視を行い、
不遇な最後を遂げたロンドン塔の王子達の哀れな末期の姿を物語った。
しかし、後の検証により、彼女が告げた透視は夏目漱石の「倫敦塔」の描写と
不自然なまでに一致しており、小説の描写の引用であったことが明らかになっている。
彼女はロンドン塔の歴史を調べることさえせず、小説からアイデアを借用したのである。
これに関しては、『新・トンデモ超常現象60の真相』に詳細が記載されている。
「倫敦塔」がノンフィクションならばまだ救いようがあるが、「倫敦塔」は
漱石による創作であり、史実と異なる描写が至るところにある。
たとえば、宜保愛子はブラディ・タワーの上階に置いてある天蓋付きのベッドを、
漱石が描いたように王子のベッドだと透視したが、実際にはこのベッドは
王子が利用したベッドではなく、一世紀も後になって配置されたベッドなのだ。
そもそも、宜保愛子がベッドの上に座る王子を霊視をした階は、
王子達が死亡してから一世紀以上後に増築された階層であり、
当時存在しなかった階で当時存在しなかったベッドに王子達が
乗って座っていたなんてことは絶対あり得ない。
結局、彼女は小説の内容を、さも霊視の結果のように話していただけ
だったのである。
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