「陰謀論を信じやすい」人たちの傾向として強く出たのは、「熟慮性が低い人」ということだ。
直感的に物事を判断する人ほど、特にコロナに関する陰謀を信じやすい傾向にあることが分かった。
これは「科学的推論」を問う質問や「合理性」を問う質問についても同様の傾向が見られている。
逆を返せば「物事を論理的に考えられる人ほど、陰謀論にハマりにくい」(大薗准教授)ことが
証明されたというわけだ。
また、社会不安や不満が高い人ほど陰謀論にハマりやすいという結果も出た。
顕著に出たのは「アノミー(=世界は悪くなっているという信念)」が強い人ほど、
陰謀論に傾倒しやすい傾向にあった。
だが、この二つの傾向の組み合わせによる増幅効果は見いだすことができなかった。
そのため、裏テーマだった、「社会不満を持ったインテリこそが陰謀論にハマりやすい」
ことは表れなかったという。
「研究結果としてはあまり面白いものにならなかった、というのが本音ですが……」。
大薗准教授はそう言いながら、「でも、陰謀論に立ち向かうための『正攻法』が判明した」と明かす。
「陰謀論にハマりやすい人を語る時に、イメージで語られることが多かった。
社会に不満を持っている人とか、生活が苦しい人とか……。
ですが、今回の調査で顕著に示されたのは熟慮性の低い人は陰謀論にハマりやすいという結果でした」
社会的な不安や不満を持つ人も熟慮性が低い人も、どちらも陰謀論を信じやすい傾向はあった。
だが、結果を見てみると、熟慮性の方がより一貫して影響していることも分かった。
大薗准教授は「社会不安を引き起こす低所得・低階層といった問題を解決するには
社会全体が変わらなくてはいけない。でも、熟慮性を磨くことは誰にでもできることです」と話す。
それは「情報を自分の中でかみ砕いて理解する」ということだ。
新聞やテレビ、ネットなど情報があふれる中で、「ただ情報に触れるだけではなく、
なぜそのような情報が発信されているのか、誰が発信しているのか、
どのくらい正しいのかというのを自分の頭で考えることが『熟慮』することにつながる」と語る。
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