ようやく日本テレビが動いた。ドラマ「セクシー田中さん」の原作者である漫画家の芦原妃名子さん(享年50)の急死を受け、2月15日、社内特別調査チームの設置を発表したのだ。テレビドラマ化に当たっての原作漫画の改変がクローズアップされているこの問題で、日テレは今後、何を調査し、何を明らかにすべきなのか。その課題を確認するため、私は改めてドラマと原作を徹底比較してみた。すると見えてきたのは、ある奇妙な事実だった。
ドラマの1話から7話までは、多少順序の変更はあるが原作コミックの1巻から6巻途中までにほぼ忠実で、原作漫画の名シーンも多くが再現されていた。ドラマ8話以降は原作が未完のためオリジナルの要素が増えるが、コミック6巻後半以降の要素も多く反映されている。
こうしてみる限り、最終的に完成したドラマの内容は、原作者の意向がある程度形になったものだったのではないか。
しかしそうした形でドラマが完成するまでの「制作の過程」はどうだったのか。実は原作とドラマを比較する中で、ある違和感を覚えた。
おかしな役が、ある。
原作は主人公「田中さん」とこれを慕う後輩女性、そして周囲の4人の男性が軸となっている。それ以外の登場人物はあまり多くない。ところが番組の公式ホームページをみると「人物相関図」の中に見慣れない名前が4つ並んでいた。
「景子」「アリサ」「絵麻」「花梨」。ベリーダンス教室のクラスメイトで、「アクティブな性格でピラティス、ワイン教室にも通っている」「スーパーのレジ打ちのパートをしているが、子育てがひと段落ついた」などのキャラクター設定も掲載されている。そしてこれらの役には乃木坂46の元メンバー生駒里奈さんやファッションモデルなどの著名人が起用されていた。
これらのキャラクターは、原作には存在していない。
私がテレビ局員だった頃の記憶から考えたのは、次のような可能性だ。
「原作者に『原作に忠実にする』と約束して映像化を許諾してもらうよりも前の時点で、テレビ局側は原作の改変ありきで勝手に役を作り、キャスティングをしてしまっていた」
この時もし俳優の芸能プロダクションから「原作にないキャラクターですけど、大丈夫なんですか」と質問されたら「いや、ここは脚本家に原作をふくらませてもらうんで大丈夫です」などと答え、製作が始まったら脚本家に原作をアレンジさせて俳優の出番を作り出せばいい。テレビ局のプロデューサー側はそう考えて、原作者の条件が決まる前に「見切り発車」した。
しかしいざ脚本作りが始まってみると原作者が粘り強く脚本を原作に近づけ、その結果、原作にないキャラクターを割り当てられた俳優たちは出番を失い制作サイドの「見切り発車」に巻き込まれてしまったーー。そんな可能性はないだろうか。
もしそうだとしたら、プロデューサーがしたことは順番を間違えている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/54890562326a8517070ad...
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