「僕がいちばん問題やと思う点は、お客さんが“何を楽しんでいるか”
ということです。今は、ネタが面白いかどうかよりも、
芸人が血相を変えている姿が面白いんですよ。負けてクソーって
なる顔が面白いんです。芸人はね、ほんまにね、笑えるところだけ
見てもろうて、裏は何があっても見せたらアカン、それが我々芸人の
気概であり、仕事なんです。だから、優勝して感激して泣いて
どないすんねん、と思います。芸人やのにって。でもね、いちばん
見せたらアカンものを見たら、視聴者はいちばん嬉しがる。
テレビマンはそこをよう知っとるんですわ」
「二番目にアカンところは、視聴者が審査に参加し出したことです。
『あいつのツッコミがどうのこうの』と言い出したんですよ。
審査員にプロとアマの垣根がなくなってもたんです。
賞レースが、『面白い/面白くない』ではなくて、
『上手い/下手』を審査するもんに変えてしまった。
つまり、それまで漫才は“演技”だったものが、
“競技”になってしもたんですね。そうなるとですね、
芸人やのうて、さながらアスリートですわな。そやから
出番前に舞台袖で握り拳を作ってね、『よし、いこ!』
ゆーて気合い入れますやん。芸人の手はほんまはパーでないと。
グーで笑えるかいな。力を抜いてパー。手の力を抜いたら、
肩の力が抜けるから、お客さんは笑えるんですよ。
血管が浮いてて笑えるかいな~!」(西川のりお)
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