元文科事務次官の前川喜平氏と前法政大学総長の田中優子氏が共同代表を務める市民ネットワーク「テレビ輝け!視聴者からのメッセージ」がテレビ朝日ホールディングスの株式を3万株取得していることが5日、明らかになった。
健全なテレビ局の報道を呼びかける同団体は他の民放在京キー局の株式も取得する意向で、かつて村上ファンドを率いた村上世彰氏のような〝物言う株主〟となれるのか――。
5日、日本外国特派員協会で会見した前川氏は「メディアは民主主義に不可欠なもの。そのメディアが正しく機能しないと民主主義が死に絶えてしまう。
政治が見えなくなると主権者は権力者を制御できなくなる。権力者は見えないところで権力を私物化する。今回の(自民党の)裏金問題もその一つの表れ」と訴えた。
前川氏といえば、安倍政権時の2016年に文科省で事務次官に就任するも翌年に天下り問題で辞任。
その後、加計学園問題で安倍政権を真っ向から批判していた最中に出会い系バー通いが報じられ、政権側と徹底対立した過去があった。
前川氏と田中氏が昨年末に設立した「テレビ輝け!視聴者からのメッセージ」は、安倍政権下でのメディアへの圧力問題やジャニーズ問題でのメディアの沈黙など、
とりわけテレビへの信頼が著しく低下している現状に危機感を持ち、結成されたものだ。
実効性を持たせるために取る手段が、株式取得による株主提案権だ。会社法で総株主の議決権の1%以上の議決権、または300個以上の議決権を6か月以上保有した株主は議題を株主総会で請求することができる。
同団体は既にテレビ朝日ホールディングスの株式3万株(5日時点で時価約6285万円)を取得し、今年6月にも行われる株主総会で株主提案できる権利を得たという。
他の民放の在京キー局の株式も取得する意向を明かした。
テレ朝を最初のターゲットにしたのは15年に「報道ステーション」で起きた元経産官僚の古賀茂明氏の降板劇だ。
「有力なコメンテーターとスタッフが『報ステ』という影響力のある番組から消されたということが、テレビ報道の危機で典型的な例としてあった」(同会の梓沢和幸弁護士)
今後は番組の改善など同会でまとめた意見を株主提案で代弁していき、さらに前川氏を社外取締役として推薦する。
前川氏は「経営側は番組の制作や報道の自由に余計なことをするな、外部の権力に忖度や迎合をするなと。権力には政治権力もあるが、民間もある。
ジャニーズ事務所や吉本興業は民間の権力。そういうのに忖度するのもいかん。放送事業者の独立性を担保する」と語気を強めた。
同会による働きかけはどこまで効果があるのか。株式評論家は「株主総会で議案を提出できても、内容次第だが社外取締役にしてくれだの番組内容に抗議しても却下されるのがオチ。
大量保有したとしてもTBSを除く、新聞社系のテレビ局は一族が占め、ひっくり返すことなどできない」と指摘する。
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/29129...
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