Q:「孤独が怖いです。どうすればよいでしょうか?」
A:(横尾忠則)
僕は子どもの頃から孤独を愛して育ってきましたので、
孤独が悩みの種になるというようなことはありませんでした。
老養父母の家で一人っ子として育てられ、兄弟もいないので
常に一人で絵を描いていました。
自分の描く絵と対話する子ども時代だったといえます。
誰にも邪魔されないで絵が描ける時間は、ある意味で
孤独ゆえの幸福感がありました。
現在八十七歳になっても、子どもの頃の孤独を愛する気持ちは
ちっとも変わっていません。
三百六十五日ほとんど毎日、孤独を唯一の友として、
アトリエで一人絵を描いています。
ですから「孤独が怖い」とおっしゃる意味がよく分かりません。
定年を迎えて、これまで大勢の人たちがいるカオスのような社会に
慣れていた人が、突然、人々や社会との縁が切られてしまい、
ものすごい孤独を感じておられるということでしょうか。
●孤独こそ創造の原点
定年後に孤独に襲われるということは、目的を失ってしまい、
それに代わって突然現れた孤独に対処の仕方が分からない
といった状況かもしれませんね。
しかし、僕に言わせれば、定年を迎えることは人生の最大の
プレゼントではないかと、ときにはうらやましく思います。
「さあ、これからは今までとはまったく違う異次元の生活、
生き方ができるぞ!」と、ワクワクするかもしれません。
目の前に未経験の地平が開けたわけです。
ありとあらゆる制約と束縛から解放されて、自由になった。
これからは何でもできる。
最高じゃないですか。
退職金と年金で、そんなに贅沢をしなければ、好きな趣味に
生きることができるじゃないですか。
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