WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(30=大橋)が史上2人目となる2階級での4団体統一に成功した。
WBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)と4本のベルトを懸けて拳を交えた。4回にはダウンを奪取。
10回には右ストレートでダウンを奪い1分2秒、KO勝利した。スーパーライト級、ウエルター級で4団体統一に成功したテレンス・クロフォード(米国)に続き、史上2人目の快挙となった。
WBC、WBO王座の初防衛にも成功した。
「(階級を)1つ上げて4本のベルトを集めることができたのも、みなさんの応援のおかげです」
クロフォードは8年3カ月かけて2階級での4団体統一を達成させたが、井上はWBA世界バンタム級王座を獲得した18年5月を皮切りに5年7カ月と大幅に“偉業”を更新する最速記録となった。
これで14年4月のWBC世界ライトフライ級王座獲得から区切りの10個目となる世界ベルト奪取となった。
今年7月、井上は無敗のWBC、WBO世界同級王者スティーブン・フルトン(米国)を8回TKOで撃破。一気に2本の世界ベルトを獲得した。
その試合を視察したタパレスもリングに上がり、年内の統一戦を約束。5カ月後に実現した。井上は「タパレスがリングに上がって次戦が約束された瞬間、自分の中では気が抜けないという感覚がありました」と振り返った。
試合前2カ月間で、メキシコ人のスパーリング相手4人を呼び、総スパーリング数は計116ラウンドにのぼった。最近の世界戦前は計70~80ラウンドが平均だったこともあり、約1・5倍の実戦練習量となった。
所属ジムの大橋秀行会長(58)は「井上尚弥史上、もっともハードなスパーリングになったと思う」と手応えを示していた。
海外のブックメーカー(賭け屋)のオッズでは、井上が有利。試合当日も英大手ウィリアムヒルでは、井上の勝利に1・05倍がつけられ、タパレスは10倍と差がついた。
その「鉄板オッズ」のムードを払拭(ふっしょく)するように練習に打ち込んだ。井上は「周りの楽勝ムードを吹き飛ばすため。自分の中では、周りのムードが自分の中で怖いと思っている。
それを自分でも切り替える意味で、トレーニング内容と向き合いながら調整してきた」と気を引き締めてリングに向かっていた。
史上2人目の2階級での4団体統一は世界的にも偉業と言える。大橋会長は「新たなモンスター伝説の始まり」と言った。24年は日本人初となる4団体統一王者として防衛成功、25年にはフェザー級転向で日本人の世界5階級制覇へ、26年以降はスーパーフェザー級など、さらなるウエートで海外のスター選手と戦うという夢も広がる。
試合後のリング上では、このスーパーバンタム級を適正階級と表現。「来年、再来年とこの階級で試合をしたい」と話した。
来年5月には元WBC世界同級王者ルイス・ネリ(29=メキシコ)戦との話もある。「ファンが喜び、見たい試合を実現したい。(対戦したい選手は)どんどん声をあげていただきたい」と訴えた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e2233ca0cf019935c31a...
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