
●真面目なAさんと、不真面目なBさんの分かれ道
ここで、私が実際に見てきた患者さんの例をご紹介しましょう。
Aさん(72歳男性)は、現役時代から非常に真面目な方でした。
定年後も会社の健康診断の数値を気にして、医師にいわれた通り「塩分控えめ、脂質控えめ」
の粗食を徹底していました。
大好きだったトンカツも年に一度とがまんし、奥様の手料理も野菜中心。
その甲斐あって体重は20代のころと同じというスリムな体型を維持していました。
しかし、70代に入ってから、Aさんは急に風邪をひきやすくなりました。
一度風邪をひくと長引き、肺炎になりかけて入院。
退院後も食欲が戻らず、みるみるやせてしまい、今では「外に出るのが怖い」
と家に引きこもりがちになりました。
典型的なフレイル(虚弱)のスパイラルに陥ってしまったのです。
一方、Bさん(72歳男性)は、いわゆるちょいワルな雰囲気を持つ、
少しお腹の出ている方です。
健康診断で「中性脂肪が高い」「やせなさい」といわれても、「はいはい」と聞き流し、
週に数回は友人と焼肉や居酒屋に行き、好物の肉料理を平らげています。
医師から見れば不真面目な患者かもしれませんが、Bさんは肌もツヤツヤで、
声にも張りがあります。
風邪などほとんどひきませんし、毎日あちこちに出かけて人生を謳歌しています。
AさんとBさん、どちらが幸せな70代といえるでしょうか?
医学的に見ても、Bさんのように「栄養(たんぱく質と脂質)」が満ちている体のほうが、
免疫力が高く、病気を跳ね返す力があるのです。
真面目さが裏目に出るのが、高齢期の健康管理の落とし穴です。
Bさんのように「少し不真面目なくらいがちょうどいい」というのが、
私の実感から導き出される結論なのです。
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