宮崎駿は、絵を描きながら同時に話も考えていくという、ちょっと考えるだけでも
面倒だし仕事がいつまでも終わらなそうなことを長年続けているそうで、そのスタイルで
あそこまでのものを作るというのは中々に凄まじい。
話が面白いかどうかで言うと個人的には『千と千尋の神隠し』までは分かりづらくも、
まあまあいけたクチだが、『ハウルの動く城』あたりから意味不明だし観直すのすら
苦痛になった。
岡田斗司夫の解説をみて、詳細な伏線とその回収方法を知って面白さの勘所が掴めたので、
観直そうとしたが、序盤で力尽きた。
なぜ当時から観るに耐えなかったのか自分でも一瞬疑問だったが、すぐに答えはわかった。
「声」だ。
声優を使わないというのを『もののけ姫』あたりから積極的にやり始めたように思うが、
はっきり言って最悪だ。
おそらくカリスマ宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーの意向に逆らえず誰も止められなかったのだろう。
有名テレビタレントを使って話題作りになった面もあるのかも知れないが、単純にテレビタレントでは
アニメに声を当てるための技術が足りておらず、作品そのものが台無しになっている(上手い人は問題ない)。
むしろ日本のプロの声優の技術があれば、宮崎駿が描いた一枚絵に(たとえば最近のドキュメンタリーの
最後に出てきた絵にナウシカ役だった島本須美さんが)声を当てるだけで豊かな空想世界を創造することが
できるだろう。
話の筋がいくら滅茶苦茶でも、ジブリのアニメーションとプロの声優陣の高度な技術の粋を集めた
シーンを何度も眺めるだけで観客としては充分満足できるし、意味不明でも深読みしたくなる。
そもそも一連のジブリの作品で、話の筋がハリウッドのブロックバスター映画のように
「皆大好き」な英雄神話型通りだったものがあったためしがない。
つまり、よく考えるとどれもこれも流れが分かりづらい作りなのだ。
しかも、まだ誰も見たことのない世界を創造しようとする。
それを勢いで最後まで持っていけたのはディズニーを遥かに超える圧倒的なアニメーションの技術と、
美術と、声優の技術があったからこそだ。
とにかく声優の起用は必須だと個人的には思う。
その証拠に、アニメーションの技術と物語だけで作られたMV『On Your Mark』はその完成度や世界観は
素晴らしくとも、何度もみたいとは思わないが、『紅の豚』のブタが呟いているところなどは、
派手なものは無くともどのシーンを切り取っても最高である。
食事しながら語っているだけでも痺れる。
大人になったから、あの味わいが分かるようになって、そう思うようになったというわけではなく、
子供の頃から観ていてそう思っていたので、あの「声」と絵柄と動きの影響が大きいのだろう。
絶対無いだろうが、一度、技術未達のテレビタレント声優を全員プロの声優に置き換えた作品も
観てみたいものだ。
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