日本で生まれ育ち、現在も兵庫県神戸市に住む在日コリアンの女性が、
東京都内のホテルで不当に宿泊拒否されたとして、ホテルの運営会社を相手取り、計220万円の損害賠償を求める裁判を起こしている。
訴状などによると、大学教員の女性は2024年9月、旅行サイトを通じて予約した新宿区歌舞伎町のビジネスホテルを訪ねた。
チェックインの際、フロント担当者からパスポートか在留カードの提示を求められたという。
理由を尋ねると、担当者は、旅館業法施行規則に基づき「日本国内に住所を有しない外国人の宿泊に際しては、
宿泊者名簿に、氏名、住所、連絡先等の記載に加えて国籍および旅券番号の記載を義務付けている」とする厚生労働省の指示を根拠として示した。
しかし、女性は神戸市内に住所を有しており、国内居住者である。また女性は「入管特例法」に基づく「特別永住者」であり、
特別永住者には在留カードではなく「特別永住者証明書」が交付されるが、常に携帯する義務はない。
女性は運転免許証を取得していないため、日本に住所があることを示すものとして、裏面に住所が記載された健康保険証を提出した。
さらに、ホテルに荷物を置いてフィールドワークに出かける予定で、ラフな服装だったことから、身元を補足的に示す目的で大学の名刺も提出したという。
そのうえで、特別永住者に対して、在留カードやパスポートの提示を求める法的義務はないことを説明した。
それでもフロント担当者は「社長が不在で、自分の一存では決められない」と対応を保留し、「うちはずっと、外国人には在留カードかパスポートの提示を求めてきた」とも述べたという。
では、パスポートや在留カードを携帯していない特別永住者について、これまでも宿泊を断ってきたのか──。女性がそう問いかけると、
担当者は「今まであなたと同じ立場の方をお泊めしたことはないですし、お引き取り願っていました」と答えたという。
女性は、特別永住者が日本に存在する歴史的経緯を説明すれば、ホテル側も誤りに気付くのではないかと期待して、話し合いを続けたという。
しかし、やりとりを始めて約40分後、社長と電話がつながったフロント担当者から、その伝言として「お引き取りください。訴えるならどうぞお好きにしてください」と告げられた。
さらに女性によると、社長と電話がつながる前、フロント担当者から次のような提案もあったという。
「日本で生まれて日本で育ったんですよね。だったら通名がありますよね?通名を宿泊名簿に書けば、社長の許可がなくてもお泊めすることができます」
女性は「通名を名乗れば宿泊できる」という提案について、無意識の偏見や差別意識に基づく「マイクロアグレッション」を越えた、明確な差別だと感じたと語る。
https://news.livedoor.com/article/detail/30279887...
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