
あらすじ
①発端と歌舞伎への道
任侠の一門に生まれた喜久雄は、15歳の時に抗争で父親を亡くし、天涯孤独の身となります。
彼の持つこの世ならぬ美貌と天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門・花井家の当主、半二郎は、喜久雄を内弟子として引き取ります。
②修行と葛藤、そして成長
喜久雄は、未来を約束された御曹司である俊介と共に、厳しい歌舞伎の世界で切磋琢磨します。
生い立ちも才能も異なる二人は、ライバルとして、また兄弟のように互いを高め合い、青春を捧げていきます。
血筋が重視される閉鎖的な歌舞伎界で、喜久雄は血の繋がりのない「外」の人間として、様々な差別や苦難に直面しながらも、芸への情熱を燃やし続けます。
③悲劇と名声
半二郎は持病(糖尿病や膵臓癌)を抱えながらも舞台に立ち続け、大名跡襲名披露の舞台上で突然吐血して亡くなります。
師の死、そして様々な人間関係の確執や女性たちとの愛憎劇を経て、喜久雄は芸の道にさらに深くのめり込み、やがて稀代の女形として「国宝」と呼ばれる存在にまで上り詰めます。
④ラストシーン
「国宝」と呼ばれるようになった喜久雄は、インタビューに対して「ただただみなさまのおかげです」と答えます。
この言葉は、自らの成功の裏で犠牲になった周囲の人々、特に半二郎や俊介、家族、恋人たちへの複雑な思いや懺悔が込められたものでした。
物語は、華やかな名声の裏にある孤独や苦悩、そして歌舞伎という伝統芸能に人生を捧げた男の壮絶な生き様を描き切り、
喜久雄が自身の芸と人生を深く見つめ直す姿で幕を閉じます。
彼の最後(生死)については映画では明確に描かれておらず、観客の解釈に委ねられています。
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