関西では誰もが知っている映画解説者・浜村淳。
彼が映画を語るとき、独特の語り口で聞く者を魅了する。
たとえば彼は映画の登場人物すべてに大阪弁でしゃべらせる。
『ポセイドン・アドベンチャー』のジーン・ハックマンは
「みんな、最後まで希望を捨てたらあかんで!」
「希望を捨てへんもんだけが、救われるんや!」と説教する。
もちろん実際に見た映画では、ジーン・ハックマンは英語でしゃべっていた。
当たり前だけど。
当時、まだまだ青かった僕は「浜村淳の解説と、なんか違う…」と不思議がった。
しかし浜村淳がそこいらの映画評論家と一線を画しているのは、
なんといっても「ストーリーを最初から最後まで話してしまう」
という彼独特の解説法である。
本来、映画解説とストーリー紹介は別物のはずだが、浜村淳の解説は、
ストーリーをきちんと追って、最後の最後まで紹介してしまうのだ。
『ポセイドンアドベンチャー』でも、主人公が死んでしまったあとも、
浜村は語ることをやめない。
「船底にようやくたどりついた一行。
こんなとこに来たって、どうせ助からへんわ! 絶望する乗客達。
けれど一人が励ました。
みんな、神父さんの言うたことを忘れたんか! 諦めたらアカン!
底板を叩いて開けるんや! みんなが船底をガンガン叩く。
ちょっと待て! 聞こえるか?気がつくと、外からもコンコンたたき返す音がしている。
あっ、誰か外におるんや!助かるかもしれへん。
それ、がんばれ! するとバチバチバチっと音がして、船底が焼ききられた!
やった、青空が見えた!」
「まぁ、どうなるの?」(無責任な女性アナウンサーの合いの手)
「さぁ、それからどうなるでしょう。あとは映画館でのお楽しみ!」
お楽しみも何も、そのあと映画は1分も残っていない。
船底が丸く切断され、乗客は助け出されて、めでたしめでたし、
いきなりエンドクレジットが始まるのだ。
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