
この有名な腸内細菌の話は今のところあくまで仮説であり、梅崎教授自身も、
「糞便を移植した動物の実験ではおもしろい結果が出ましたが、
実際に人の筋肉の合成に繋がっているのかはまだわかりません」
と結論付けているんですよね。
あと、パプアニューギニア人は虫をよく食べます。
オサゾウムシの幼虫を採集し、ココナツミルク・塩・玉ねぎ・アイビカ・
フクロタケなどと煮てシチュー状にするんぼが一般的な食べ方ですが、
子供達はその幼虫を生きたまま呑み込むことを好み、大人たちも
おやつ代わりにクワガタを捕って食べたりします。
進化人類学研究所の遺伝学者ミヒャエル・ホフライター氏の、
「たいていの場合、草食動物は肉の消化に困ることはない。逆だとそうはいかないが」
…という言葉どおり、動物の基本形は「肉食」であり、“バクテリアの発酵タンク”
となる巨大な胃や複数の胃を備える等、消化管のどこかを際立って変化させた
一部の種だけが「草食」のみで生きていけるようになっています。
この適応度合いには差があり、反すう動物のようにほぼ完全に適応しているケースと、
盲腸発酵動物のように不完全な適応しかできていないケースがあります。
ウシやヒツジなどの反すう動物の胃は4つに分かれています。
本当の胃、つまりわれわれ単胃動物の胃に相当するのは最後の第4胃で、
前の3つの胃は「反すう」と呼ばれる「食物のかみ戻しと発酵」を行なうための
仕かけです。
いちばん前にある「反すう胃」は、500kgのウシで100kg以上もの重さになり、
胃の内容物には1g当たり10~100億という莫大な数のバクテリアが住み着いています。
ウシは盛んに草を食べますが、実は「ウシ自身のために食べている」というより、
「反すう胃の中にいる膨大なバクテリアのために食べている」ということになります。
そして、反すう胃内のバクテリアは、宿主にエネルギー源を供給することはもちろん、
たんぱく質を供給することも行ないます。
多くのバクテリアは、適当な炭水化物があって、さらにアンモニアのような窒素源、
また一部のアミノ酸(システイン、メチオニン)に必要な硫酸塩のような
硫黄の供給源があれば、すべてのアミノ酸を合成して、菌体それ自身を含めて
必要なたんぱく質を作ることができます。
このようにして作られた菌体は原生動物に食べられたりしますが、
そのようなものも含めて相当な速さで第4胃へと流れ落ちていきます。
この「第4胃」が我々ヒトの「胃」に相当しますから、ウシの消化管の中の
食物の流れを第4胃を出発点に眺めれば、ウシは「草を食べている」のではなく、
「バクテリア、原生動物など、たんぱく質に富んだ動物性食材を丸ごと食べている」
というのが実態になります。
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