コロナ禍以前からワクチン反対派であったユーザは特に政治的関心が強くリベラルな傾向を見せるのに対して、
コロナ禍以降にワクチン反対派になったユーザは政治的な傾向が弱いことが明らかになった。
一方、コロナ禍以降にワクチン反対派になったユーザは陰謀論やスピリチュアリティに関する単語が
ツイッターのプロフィール文に頻繁に表れることが明らかになった。
例としては「三浦春馬」「集団ストーキング」「テクノロジー犯罪」「波動」「宇宙」「スピリチュアル」
「柔軟剤」などが挙げられる。
したがって、コロナ禍以降に新規にワクチン反対派になった人々は陰謀論やスピリチュアリティに対する
関心がきっかけとなって反ワクチン的態度を持つようになった可能性が示唆される。
これらの結果は、コロナ禍における新たなワクチン反対派は政治的な傾向をベースにしたものではなく、
陰謀論やスピリチュアリティをきっかけとしたものであることを示している。
しかし、いったん反ワクチン的態度を持つようになると、反ワクチンを掲げる参政党への支持を強め、
このことが2022年参院選における参政党の議席獲得に貢献した可能性がある。
実際、参政党は国際ユダヤ資本などの陰謀論、「風の時代」などのスピリチュアリティ関連語を
選挙キャンペーン中に用いており、こうしたトピックに関心を持つ人々に支持を訴えていた。
このことは、陰謀論やスピリチュアリティをきっかけにワクチン反対派が国政において
代表されるに至るプロセスを示している。
陰謀論やスピリチュアリティそのものは直接的に政治的含意を持たない場合もあるが、
これらがゲートウェイとなって反ワクチン的態度を持つようになる人がいることが明らかになった。
将来的なパンデミックにおける公衆衛生の維持のためには、陰謀論やスピリチュアリティが
反ワクチン的態度の拡散につながらないように、その連関を断つような方法論が求められるだろう。
返信する