俳優の渡辺徹さん(享年61)、女優の榊原郁恵(65)夫妻の次男・渡辺拓弥(28)が俳優デビューすることが3日、分かった。徹さんと同じ文学座付属演劇研究所の出身。
徹さんが拓弥さんに送った最後のLINEをもとに製作された、短編映画「一区切りの吉日だ(^^)」(四季涼監督・脚本)に出演する
。同作は、第8回渋谷佐世保TANPEN映画祭(4、5日、東京・渋谷ユーロライブ)の特別招待作品として上映される。(加茂 伸太郎)
屈託のない笑顔が愛らしい。目の雰囲気、顔の輪郭、徹さんが目の前に現れたかのような錯覚さえ覚える。
拓弥は両親の影響で、幼少期から演劇の世界を身近に感じて育った。役者の道に進むきっかけは2015年、19歳の時に米国に短期留学し、ブロードウェーミュージカル「レ・ミゼラブル」を観劇。
「見る側じゃなくて出る側になりたい」という感情が芽生えたことから。17年春に大学を休学して渡米し、ロサンゼルスの学校で演劇を学んだ。
「同じ授業を選択したエンジニア志望の子に、表現力で全くかなわなくて。分かりやすく挫折しました。ちゃんとお芝居、表現を勉強しないと、という思いが強くなりました」
帰国後の18年2月、文学座本公演「真実」を観賞した。「舞台を見て、腹がちぎれるほど笑ったのは初めて。心を奪われて、文学座を目指すきっかけになりました」
家族に「役者を目指したい」と伝えると、文学座所属の徹さんがそっと差し出したのは、文学座付属演劇研究所の夏のワークショップのチラシ。「“俺の背中を見て育ったな”と、父はニンマリとしていましたね(笑い)」
学卒業後、19年春に研究所に入所。22年10月まで3年半、研究生として過ごした。
「父がいるところに行くのはプレッシャーだったけど、ここを乗り越えられれば、怖いものはないと思って覚悟を決めました。劇団の方々はみんな温かくて、濃密な時間を過ごすことができました」
俳優デビュー作は、徹さんが亡くなる1か月前、拓弥に送った最後のLINEをもとにしたオリジナル作品になる。
20年から21年にかけてコロナ禍で活動できない期間が続き、自身は心身共に疲弊。徹さんにLINEで辞める旨を伝えた際に返ってきた言葉が、「今日は一区切りの吉日だな(^^)」だった。
「次に何をするかを考えるのも難しいぐらい、当時は(精神的に)苦しくて。僕にとって、前を向きづらい日じゃないですか。
父は(それを分かった上で)新たな出発を意味する『吉日だな』って返事をくれて。『そんなに悩む必要ないぞ』って言ってくれている気がして、肩の荷が下りました」
https://news.yahoo.co.jp/articles/567a5509fe82e1992287c...
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