日本の90年代のお笑い番組が現在、海外で問題視されていることをご存じだろうか。
イギリスで制作された映画「ザ・コンテスタント」(2023年)は、1998年に放映された日本の人気バラエティ番組「進め!電波少年」内の企画、
「電波少年的懸賞生活」にてブレイクした芸人・なすび氏に、当時の状況を取材したドキュメンタリーだ。
狭いアパートの一室に監禁され、衣服も脱がされた状態で1年3カ月の間ひたすらハガキを書き、懸賞に応募し続けたなすび氏の様子と、それを「お笑い」として消費する視聴者の様子は世界に衝撃を与えた。
欧米のメディアおよび評論家たちの間では、この作品について「あまりにもサディスティックだ」
「何が起こっているのか理解が追い付かない」「視聴者の共犯性を告発するものだ」など、日本独自のお笑いスタイルに困惑、そして不快感を示す批評が目立っていた。
はたして90年代の日本のお笑い番組は、現在コンプライアンスに照らし合わせると、どういったことが“アウト”になるのか。
そこで今回は、再注目されているなすび氏の挑戦した企画を含めた「電波少年」の過激企画3つを振り返りつつ、
企業法務をはじめ様々な分野で弁護士として活躍する山岸純法律事務所・代表の山岸純氏に、その問題点を解説してもらった。
そもそも「コンプライアンス」とは何か、そもそも現代における「コンプライアンス」とはどういった意味合いで使われるのか? その定義について山岸氏に聞いてみた。
「コンプライアンスを日本語に直訳すると“法令順守”という意味になりますが、現在認知されている意味とは多少異なります。多くの人はおそらくコンプライアンスについて“モラルを守る”という意味を想定するでしょう。
つまりこれは本来の意味である“法律を守ること”は前提としつつ、さらに法律以外の社会常識やルールなども守るということを意味し、これが現在のコンプライアンスを判断するうえで基準となっています」
コンプライアンスの定義についてわかったところで、さっそく「電波少年」シリーズのなかでも特に過激だった企画を振り返ってみたい。まずは、なすび氏が出演した「電波少年的懸賞生活」企画について。
冒頭でも説明したように、当時若手芸人だったなすび氏がアパートの一室に閉じ込められ、ひたすら様々なプレゼントキャンペーンに応募し、総額100万円分の懸賞商品を獲得した時点で解放されるというルールだった。
なすび氏はまともな食料が尽きれば、ドックフードを食べて飢えをしのいだこともあったと語っている。また企画の挑戦中、誰とも話すことなく孤独感にさいなまれた経験が今でもトラウマになっているそうだ。
そんな過酷な企画を山岸氏は、現在のテレビ業界のコンプライアンスから考えてどう分析するのか。
「法律順守という観点から見れば、なすびさんも放送内容に同意しているので問題はないでしょう。
しかし出演者に激しい精神的苦痛を与えるような描写を放送することは、現在のコンプライアンスから考えるとアウトになります。」
https://news.yahoo.co.jp/articles/b4111022419f793569eb9...
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