モチベーションは不思議だ。
まず目に見えない。モチベーションのレベルは外からは判断出来ない。
物凄く熱く仕事をしているように側から見える社員も実は冷めているかもしれない。
一方、淡々と仕事をこなし、決してモチベーションが高いようには見えない社員でも
その実密ひそかに仕事に燃えている場合もある。
日本人は国際的に見て組織へのエンゲージメント(愛着心、個人と組織が一体となり、
双方の成長に貢献しあう関係)が先進国中最も低いという調査結果がある。
働き方改革が求められる今、我が国の労働生産性が国際的に見て低い理由に
残業が多いことやマネジメント力がないことが指摘されるが、平均的にみて
日本人の仕事に対するモチベーション自体が低い可能性がある。
世界でもトップクラスの勤勉な国民性を持つ日本人のモチベーションが
低いはずがないとの反論が聞こえそうだが、勤勉に働くということと
高いモチベーションで働くということは決してイコールではない。
低いモチベーションで勤勉に働くことは可能であるし、正直言って
私のサラリ-マン人生を振り返ってもその経験の方が多い。
つまり、モチベーションを引き出すことは、勤勉な行動を求めることとは
違うということをまず理解すべきだ。
研修の中には、しっかり仕事するよう叱咤激励することで社員全体の
モチベーションを上げようと企画されたものもある。
しかし、具体的行動を強制することでは決してモチベーションは上がらない。
むしろ下げる可能性の方が大きい。
多くの皆さんに共通した体験があるはずだ。
自分が子供の頃、親に勉強しなさいと言われた時、「今やろうと思っていたのに」
と反論し、その瞬間勉強する気が失せた経験。
また、自分が親の立場でも、つい「勉強は?」と言ってしまい、
子供がふて腐れて勉強しなかった経験。
言われなくてもやるつもりだった場合、誰かに言われることでやる気を無くす
という心理は職場でも同じだ。
口うるさく指示命令を出せば出すほど、指示命令以外のことをやらなくなる。
モチベーションは全体に下がるということがあり得る。
我が国では組織が社員を囲い込み、細かく行動を縛る傾向にある。
マネジメントスタイルも指示命令の多いマイクロマネジメントが主流だ。
それが逆にエンゲージメントを低くし、モチベーションを下げている
可能性がある。
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