■「丸一年間、肉(赤肉)だけを食べた、2人の『勇敢な』男達の物語」
Vilhjalmur Stefansson博士はカナダ人の民族学者で、20世紀初頭に
北極探検を行い、その期間、イヌイットの人々と10年以上も生活を
共にした経験を持っている。
この10年間のうち9年間、彼はほとんど毎日、肉と魚だけを食べて生活した。
その当時、彼が行ったこの食生活は、あまりにも反社会通念的であり、
命の危険があると思われていた。
今でも、そう考えられてもおかしくない。
------------(彼の探検記からの引用)------------
私の北極探検において、自分にとって運命的にもきわめて重大だと認識し、
抱えていた信念がある。
この探検が成功か失敗か、あるいは生か死で終わるかを決めるうえで、
非常に大事なものである。
その信念とは、「人は肉だけ食べて生きることは不可能だ」、
という考えである。
もし、ごく少数でも、「可能だ」と考える医者や栄養士がいたら、
彼らはペテン師とは呼ばれないまでも、相当異端だと言わざるを得ない。
人は仮に肉だけ食べ、野菜を全く摂らなければ、壊血病を発病させる
可能性がある。
また、腎臓にはすごい負荷がかかり、壊れてしまうだろう。
腎臓にとって、タンパク質は毒であり、一般的に言って、
過剰摂取はひどい目にあうからだ。
------------(引用終わり)------------
ところが、彼が探検から帰国し健康検査をおこなったところ、
周りが驚いたことに、(ステファンソン自身もビックリしたのだが)、
彼は10年もの間、完ぺきな肉食生活を行った後にもかかわらず、
健康状態に全く異常がなかったのである。
しかし、ステファンソンがこの驚くべき体験を皆に話すと、
それを聞いた医療専門家から疑いの目で見られ、しかも、
同じ結果が再現できるかどうか、再実験を要請されてしまった。
そこで、彼は同僚の探検家、アンダーセンとともに、
その食生活実験を行うことに同意した。
つまり、「厳しい監視下の設定の下、彼ら二人は、丸1年間、
動物肉だけを食べる“ダイエット”(注:「日常的な食事・食べ物」
という本来の意味)を行う羽目になったのである。
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