■飲酒と喫煙の組合せにより食道がんリスクは最大16.8倍に上昇
計16万2,826人の男性を平均12.6年追跡し、954例の食道がんの発生が確認された。
この集団での飲酒率は78.5%、喫煙率は60.6%だった。
解析した結果、飲酒も喫煙もしない人に比べ、飲酒者では2.76倍、喫煙者では2.77倍、
食道がんリスクが上昇することが明らかになった。
さらに、飲酒も喫煙も両方する人はリスクは8.32倍に上昇し、
飲酒と喫煙の組合せにより食道がんリスクが高くなることが示された。
さらに、飲酒量と喫煙量を3段階で評価した結果、飲酒量がエタノール換算で
23g以下で喫煙をしない人に比べ、飲酒量が46g以上で喫煙が40パックイヤー超の人の
食道がんリスクは16.8倍となり、組合せによってリスクが大きく上昇することが確認された。
■お酒とタバコのどちらか片方を止めるだけでも予防効果がある
研究グループは、食道がんリスクと飲酒者・喫煙者の割合から、
飲酒または喫煙を原因として発生した食道がんの割合を推測する人口寄与危険割合も計算した。
その結果、日本人男性の食道がんの81.4%は飲酒または喫煙が原因で発生しており、
飲酒単独で61.2%、喫煙単独で55.4%、それぞれ食道がんの原因になっていることが示された。
つまり、お酒とタバコの両方を止めることで食道がんの約8割を予防でき、お酒だけ、
あるいはタバコだけを止めることでも約6割の食道がんを予防できることが明らかになった。
「飲酒と喫煙はそれぞれ単独で食道がんのリスク要因になりますが、
合わさることでリスクが増強されることが分かりました。
そのため、食道がんの予防のためには、お酒とタバコの両方を止めることがもっとも良い方法ですが、
せめてどちらか片方を止めるだけでもある程度の予防効果を得られると考えられます」
と、研究グループでは述べている。
今回の研究で明らかになった飲酒と喫煙の相加的交互作用とその大きさから、
2つの展開が考えられるという。
「食道がんを予防するための飲酒対策と喫煙対策では、お酒とタバコを1つずつ、
あるいは片方だけを止めることも選択肢となりえます。個人に適した予防の実践が期待されます」
としている。
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