たとえば、大正時代の静岡県の中流農家の食事に関する資料によると、
当時の農家の大人ひとり分の基本的な食事内容は、一日に「米四合」(大盛ご飯約7杯)、
「味噌汁6杯」、「たくあん20切れ」というものだったようです。
栄養価の低い食事内容を量で補おうとするために、必然的に米を大食することになり、
総エネルギー摂取量はむしろ現在より200キロカロリーほど多かった程なのですが、
炭水化物偏重で、動物性たんぱく質と油脂類の摂取量が絶対的に不足していたため、
体構成組織の劣化と免疫防御機能の低下は免れず、結核や肺炎が蔓延し、
感染症による死亡率が異常に高くなっていました。
また、血管を構成する材料(たんぱく質)の不足から血管が脆くなって破れやすくなり、
加えて、ご飯を大量に食べるために必要となる漬物や味噌汁などの塩辛いおかずの影響で
血圧も高くなっていたため、30~40代の若さで脳出血によってあっけなく死ぬケースも
非常に多かったようです。
戦前に外国のTV局が制作したと思しき、当時の日本の様子を紹介する番組の動画を見たことが
あるのですが、実際にその番組内でも、
「日本人男性は、毎日10数時間働き詰めで家族を養い、たいてい40代で脳出血で死ぬ」
という憐れむようなナレーションが流れていました。
しかし、戦後、肉と油を摂るようになって、従来の日本食に欠けていた栄養素が補完され、
また、その分、炭水化物の摂取量が減ったことにより、栄養素のバランスも改善し、
理想的な長寿食が完成しました。
そして、肉の摂取量が増えるにつれて、脳卒中、中でもその大部分を占めていた脳出血が激減し、
平均寿命が大幅に伸びました。
かつては日本人の死因で最も多かった脳卒中も、現在は3位にまで後退しています。
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