わたしには“残酷で異常な刑罰”に反対する理由がわからない。
裁判官は常に慈悲深くあるべきだが、その裁定は犯罪者に苦痛をもたらさなければならない。
さもなければ罰がないのと同じことになってしまう。
苦痛とは、何百万年にもおよぶ進化によってわれわれの中に築き上げられた基本的メカニズムであり、
なにかがわれわれの生存を脅かしたときに警告する安全装置の役を果たしている。
そのように高度に完成された生存メカニズムを利用することを、なぜ社会が拒否しなければならないのだ?
(中略)
“異常な”と言うが、罰はそもそも異常でなければ、なんの目的も果たすことができない。
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口先ばかりの社会改良家たちは、“少年たちの良心に訴えかけ”たり、“手を差し伸べ”たり、
“少年たちの道徳感を呼び起こし”たりしようと試みた。
くだらん!非行少年たちには“良心”などない。
彼らは自分たちのやってきたことが生存のための手段だと経験から学んでいた。
まさに叩かれたことのない仔犬だ。
だから、楽しみながらやって成功したことが、彼らにとっての“道徳”になったのだ。
(中略)
例の非行少年たちには、だれも彼らが理解できるようなやりかた ― つまり鞭打ち ― で義務を教えることはなかった。
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ロバート・A・ハインライン『宇宙の戦士』より
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